新幹線ロボ第12回
色々その壱

「毎度当ステーションをご利用いただきありがとうございます。
まもなく雑玩系車輌が到着いたします。
白線の内側までおさがりになってお待ち下さい。」
 
 (おそらく)ロボッ太くん
 
「皆様、大変長らくお待たせ致しました。
ただいま到着の車輌はおそらく
『ロボッ太くん』でございます。
ロールアウト年は不詳、森永製菓製でございます。」
(おそらく)ロボッ太くん
車輌時全長:45mm
「このはっす!解説いきます。

この食玩は『ラムネをチョココーティングしたお菓子』に小さい組み立て式プラモデルが付いたものでした。
ディフォルメされた乗り物がロボットに変形するもので、仲間にはSL、TGV、ロマンスカーやジャンボジェットなど
さまざまな乗り物のロボットがいまして、そのシリーズ名が『ロボッ太くん』だったと記憶しています。

新幹線である彼のキャラ名はたしか『ひかりくん』だったと思います。

ただし今これ本体しか私の手元にないので、商品名もキャラ名も確かなソースがなく
私のうろ覚え情報です。(^^;ゞ
ですので間違っていましたらすみません。m(_ _ )m」
「でも森永製菓のお菓子のおまけだという点だけは間違いなさそうですわね。
本体に“MORINAGA”と刻印されていますわ。」
「そしてロボットモードへと変形ですわ。」
「昔の変形ロボットのオーソドックススタイル!
シンプルな変形過程とロボット形態のアンティークなスタイルに心洗われます。」
「ノーズの『ひかり前頭装置』がそのままスライドして出て来て頭部になるとこや
側面のラインが起き上がって腕になるのは良く考えられていますわね。
変形用のギミックによる部品分けがそのまま車体の色分けに対応していて素晴らしいですわ。」
「シンプルな工夫が美しいですね。」
「それにしましてもこういう昔のチープトイ系の可変ロボットってなんだかみんなゴールドライタン軍団みたいな変形をしますわね。」
「ライタン軍団の、とくに後期メンバーの変形はシンプルで汎用性が高いシステムの集大成ですからね。
変形させたいモチーフの形状の中に長方形もしくは円柱状のコアを見出してしまえば
あとは頭と手足が出るように分割するだけで可変ロボットがデザインできますから。
逆に言うとこういうシンプルな変形の物は意図せずともライタン軍団のどれかの変形にかぶっちゃうのが多いんですよ。」
「ところでこの子、配色は信用してよろしいんでしょうか?」
「え、どういうことですか?」
「白いボディに緑色のラインの新幹線をモチーフにしていると思ってよろしいのでしょうか、ということですわ。」
「ああ…ええと他には水色のSL、黄色いディーゼル機関車、赤いジャンボジェットなどが仲間にいましたのでどうかと。
成型色が違うカラバリもあったようですし。」
「とてもサイケデリックですわね…。
すると、色は実際の車両や機体とは関係ないということでしょうか。」
「どうでしょう。
あ、でも私はこのシリーズの新幹線モチーフの個体は
この白い…というかクリーム色っぽいボディに緑色のアクセントの入っているのしか見たことありませんね。
あと小田急ロマンスカーがモチーフので見たことあるのは赤いボディに白いアクセントの車両だけです。
この二種に限っては本物準拠な色になってる気がしますが、私が他の色のを知らないだけということももちろんありえます。」
「なるほど。
ならばひとまずこの色どおりの車両モチーフなのだと仮定しましょう。
するとこれは東北・上越新幹線系統の車両ということになってしまうのですけれど。」
「と、言いますと?」
「『ひかりくん』とおっしゃってましたが、新幹線『ひかり』をモチーフとしているならば東海道・山陽新幹線系統で側面のラインは青いはずなのですわ。
ちなみに『ひかり』でこういう車両でしたらば0系か100系です。

しかし緑色が正しいのならば東北・上越新幹線系統の車両、新幹線『やまびこ』をモチーフにしているはずでして、
それならば名前は『ひかりくん』ではなく『やまびこくん』になるのではないかと。
ちなみに『やまびこ』でこういう車両でしたらば200系ですわね。」
「えーと…でも『やまびこくん』という名前にはおぼえがないんですけど…。
ここはいつものジェニーさんの鋭い洞察力で車両を特定できませんか?」
「そうですわねぇ、この丸いノーズの形状と、そこからフロントガラスの間にハッチラインがあるのは0系か200系ですわね。
後期200系はフロントの窓が1枚だったり二階建てだったりするので特定する手がかりになるのですけれど、
これは窓2枚で一階建てなので最初の頃の200系か、あるいは0系ですわ。

細長いライトの形からして100系かとも思ったのですが、100系にはハッチがないですし、ノーズがもっと角張り流線型を描くのでたぶん違います。
ちなみに0系か200系ならばライトはまん丸です。
ただ細かいことを言えば100系みたいに目が細い200系もあるのですが、
その場合には100系同様ハッチがないので今回は判断材料にはなりませんわね。

うーん、やはり車両の形状の特徴はあきらかに0系か200系ですわね。でもライトの形状が細長く100系のようで…

ハッ!ピンときましたわ。
これはもしかしてパーツ分割部分と金型の向きの関係で、0系・200系のライト形状を再現できなかったということではないでしょうか。」
「ああ、なるほど、射出成型する都合で見るとたしかに微妙な位置にありますね、ライト。
これでは丸いライトは作りにくそうです。
となると苦肉の策でライトが狭い形になった0系か200系だろうということですね!

あれ、でもそれでは結局『ひかり』も『やまびこ』もどちらも可能性ありということでは?」
「はい、実際のところそうですわ。
0系か100系なら『ひかり』、200系ならば『やまびこ』と特定できたのですけど…。

…あ!スノープラウ!」
「はい?」
「ディフォルメされてて小さくて見過ごしてたのですけれど、良く見るとスカートにスノープラウ(除雪板)が付いてますわ!
0系の排障器も似たような外見なんですけれど、排障器ならば上端がスカートの上端と同じくらいの位置です。
しかし200系のスノープラウは上端がスカートの中ほどにあるんです。
つまりこれは排障器ではなくスノープラウですわ!

スノープラウ付きスカートは雪深い地方を走行することを前提に設計された200系の証です。
となれば、これは緑色のカラーリングも正しくて、東北・上越新幹線系統、200系『やまびこ』をモチーフにしたものと見て良いでしょう。」
「あらら。
じゃあ、これ、『やまびこくん』でないと変なんですか…。」
「ですわね。」
「でも新幹線のわかりやすい代表格の名前は『ひかり』なので、わかりやすくその名前にしてしまったとかはないでしょうか。」
「もしくはあれですね、他のマシンではカラバリを見たことがあるとおっしゃってましたよね。
ならばもしもこの緑色のパーツが青か水色になっているカラバリが存在するならば、この造形なら『ひかり』にもなれると思いますわ。」
「なるほど。
…とは言っても、そもそもが私個人のうろ覚え情報ですので私が間違えてる可能性も高いでしょうね。
もしも正確な名称を御存知の方がいらしたら教えてくださいませ。m(_ _ )m」
 
 ●ひかりシューターズ
 

車輌時全長:64mm(連結器含めずで45mm) 64mm(連結器含めずで45mm) 68mm(連結器含めずで50mm)
「続きましての到着は『ひかりシューターズ』でございます。
あそびは文化、タカラ社製。1997年。

左から、
やまびこシューター、ひかりシューター、のぞみシューターです。
モチーフの新幹線は順に200系やまびこ、0系ひかり、300系のぞみですわね。」
「タカラの製品なのですが、ラムネ菓子付きの食玩として発売されたもので、お菓子売り場で売られたものです。」
「ここまで寸詰まりの新幹線も珍しいですわね。
以前、秋葉原に交通博物館があった頃、屋外に0系21型先頭客車の文字通り先端部分だけが展示されていて外からも見られたのですが
ちょうどそれみたいな感じですわね。
ちなみに今(2009年現在)は大宮の鉄道博物館の屋内展示で見られますけど、狭いところにあるのでブツ切り感が薄れていて残念ですわ。」
「そしてロボット形態に変形。

新幹線の乗務員室の上にある「静電アンテナ」を倒すことで頭部が現れるデザインは
変形させやすい工夫にもなっていて面白い処理ですわ。」
「パッと見、ビーダマン本人が頭を出してるタイプのビーダアーマーにしか見えませんが気のせいです。
メーカーが同じタカラという共通点はあるものの、製品シリーズとしてはいっさい関連性はありません。」
「そういえば胸の黄色いとこは新幹線の実車のような半球状のカバーではなく、
本物の球体がボディにめり込んでいて前半分だけが見えているのですわ。
ロボ形態に変形すると後部にトリガーが出現し、胸部からその球を発射できます。
新幹線ロボとしては珍しいプレイバリューですわ。」
「何度も言いますがビーダアーマーではありません。はい。」
「次の写真は胸に球が見えないのぞみシューターのギミックです。
正面の連結器カバーが開くと中にはやはり球体が!
背中に飛び出た黄色いパーツがトリガーになっています。」
「ビーダアーマーではないのですよ。ええ、もちろん。

…って、どう見てもビーダアーマーやん!!
そんな顔して胸から玉うっちゃ弁解しようがないでしょがぁーっ!!」
「おちついておちついて。
はい、息を大きく吸ってー、ひーひーふー。」
「ひーひーふー。」
「おちついたところでこちらはパッケージです。
精密なのか荒いのか微妙でいて変に派手な色使いのCGイラストがまるでアジア系チープトイのようです。」
「まあ実際、200円と書いてありますし、チープトイには間違いありませんわね。」
「これ、タカラ製の新幹線変形ロボですからメジャーなのかと思いきや、実はかなり知名度低いんですよ。
知ってるけど持ってないとかではなく、存在自体を知らない方が大多数というレベルで。不思議。」
 
 ●へんしんさんかく
 
「続きまして到着の車輌は知育パズルです。」

車輌時全長:122mm
「シリーズの正式名称は『へんしん○△□』 (へんしんまるさんかくしかく)
その全三種の中の
『△』(さんかく)がこの『しんかんせん』です。
1988年の品で、れっきとしたTOMY製の一品。
それではさっそく変形です」
「まぁ!『さんかく』の名に恥じない立派な三角形ですわ!」
「ええ、比類なき直角二等辺三角形です!!」
「こんなシンプルなのに新幹線の車輌後方にはパンタグラフと連結器まで展開して出現するのが比類ないですわね。

そして側面の青いラインが白く細いラインで区切られていること、ライトの形状、そして発売年の運行状況から考察しますと、
これはおそらく『100系新幹線ひかり』をモチーフとしてデザインされていると思われますわ。」
「おお!それだけの判断材料でそこまで車両を特定できるとは比類ないです!!」
「鉄子ですので。うふ。」
「ちなみに『○』と『□』も同様にシンプルな図形タイルになる品で
『○』が『ヘリコプター』、『□』が『パトカー』になるという
シンプルゆえに比類なき乗り物変形シリーズになっています。」
「このメーカーのトミーと言えば、変形新幹線の一大シリーズであるヒカリアンのトミーですわよね。」
「ええ。
しかしこれはヒカリアンのようには知られていないようですね。

それにしても新幹線を一捻りするだけで三角形にしてしまうびっくりどっきりギミックは比類ないアイデアだと思います。
前のうさぎもそうでしたけど、こういう知育玩具は我々おもちゃファンの普通の発想では出来ないギミックなんですよね。
だから新鮮で斬新と言いますか。」
「知育玩具の変形物はまるで青い鳥ですわね。」
「ですね。
知育玩具の変形ギミックはシンプルさの極致にあるがゆえに、複雑なギミック主義を極めた者たちがやがて還る約束の地でもあるのですよ。(ぇ)

そんなわけで今回は比類なき有名メーカーによる雑玩系ディフォルメ新幹線の特集でした。」
「ただいま到着の車輌は以上となっております。
次の便は『色々その弐』となります。
到着まで今しばらくお待ちください。」
「お待ちくださーい。
んでわまた。
バイバーイ☆(^-^)/~~~」


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